胃癌の検診は大きく変わりつつある

 

今までは「バリウム検査でひっかかった」「胃の痛みが続く」というのが「胃カメラを受ける2大理由」でした(下図)。

しかしこの手続きでは早期胃癌を見つけることはできません。 早期の胃癌は「レントゲンでは映らない」「無症状である」からです

もちろん胃カメラは早期癌発見だけが唯一つの目的ではありません。胃カメラで「ストレス性の胃炎、胃潰瘍、食道炎」が診断されることも多いです。しかし、このような「良性の病気の診断」に胃カメラが不可欠なのか?再検討をすべき時に来たと言えます。「消毒のページ」に書いてありますが、胃カメラを受けたためにピロリ菌に感染した(つまり胃癌の危険が高まった)人も多いのです。

 

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これからの胃癌検診のスタイルは大きく変わります。

ピロリ菌感染が原因となり「炎症の強い胃」が、やがて「委縮性胃炎」になり胃癌が発生するというストーリーがほぼ定説となったのです(下図)

まずレントゲンでも内視鏡でもなく「ピロリ菌の検査」をおこなう。同時に「胃炎の検査=ペプシノーゲン検査」もおこなう(ABC検診)

この二つの検査が「陰性」ならば「胃癌にはならないので、一生、胃カメラは不要」

逆に両方が陽性の方は「胃癌のハイリスクなので頻繁に胃カメラを勧める」

つまり「患者さん個人の胃癌のリスク」を評価し、そのリスクに応じて「胃カメラの検査の頻度」を決める・・・・という考えです

 


クイズを出しましょう

下の映像は「胃のレントゲン検査で要精密検査」となった50歳の方の胃カメラです。

この方の「診断・正しい方針」は何でしょう?

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解答です

この方の胃は「典型的な胃炎の無い健康な胃」です。当然ピロリ菌は陰性です

「今後の方針」ですが、正直に言うなら次のようになります(実際には患者さんにはもう少し婉曲に説明しましたが・・・・)

この方はレントゲンと胃カメラで時間とお金を無駄にしました。特にレントゲンに関しては被爆で「かえって不健康になった」といえるでしょう。内視鏡も「消毒を厳格にしている施設」で受けたなら心配ないでしょうが、そうでないなら「何かのウイルスが伝染しかえって不健康になった」可能性があります。胃に関して言えば、この方は「医療機関に近づかなかった方がよかったし、今後も胃痛などがあっても薬で様子を見るべきで検査を安易に受けるべきではないでしょう」(文責:本郷メデイカルクリニック 鈴木雄久)